立川カシワゴルフ今昔物語~後編~

立川の老舗ゴルフ練習場が最新のインドアゴルフ練習場へリニューアル
その全貌が明らかに

立川カシワゴルフ今昔物語~前編~をお読みいただきましたか?
前編では昭和47年のオープン時の話を中心に綴りましたが、後編では屋外ゴルフ練習場の解体から室内ゴルフ練習場のリニューアルオープンまでのお話となります。

前編でも記しましたが、カシワゴルフをリニューアルオープンするに至らしめた主な原因は、相続税問題でした。立川カシワゴルフの土地は3,600坪あり、将来的な住宅建設やその他の土地利用に開発しやすく、まとまった土地でした。そのため、税法上の「広大地指定」により相続税が減免される制度を利用できましたが、2018年に広大地指定の相続税減免制度がなくなってしまい、相続税が数億円になることが判明しました。相続税がざっと10倍以上になる計算ですので、このままでは将来相続が発生した時に大変な事になると容易に予想ができました。

そこで、金融機関や税理士、コンサルタントを交えたプロジェクトチームを立ち上げ、4年がかりで資産売却を含めた相続対策を行いました。様々な角度から分析し、いくつもの相続対策パターンを作成し検討しました。その結果、ゴルフ練習場の土地の7割を売却し、残りの土地で1階をスーパーマーケット、2階をインドアゴルフ練習場にする計画ができあがりました。ゴルフ練習場を辞める選択肢もありましたが、立川市柏町で開業以来49年間、熱い思いを込めて続けてきた家業でしたので、ゴルファーの集まれる場所を残したいという気持ちが強く、ゴルフ練習場の営業を続ける事を選択しました。現在、屋外ゴルフ練習場が次々と閉店している状況を目の当たりにして、インドアゴルフ練習場という形でゴルファーのための居場所を残した判断は間違えていなかったと確信しています。

2021年5月9日の閉店が近づいてくると、何とも言えない寂しさと喪失感を感じていました。常連さんは、「今からでも間に合わないの?閉店は困るよ」等と言ってくださり、申し訳なさが加わりとても複雑な心境でした。
すべきことは山積し、ゆっくりと過去を振り返る時間は我々にはありませんでした。閉店翌日から解体工事に向けて引っ越し作業が始まりました。外ではネット屋がネットを外し、中では社員が総出で荷物整理と廃棄物の持ち出し作業を行いました。約1週間、そんな作業が続き、外では解体に向けて足場が組まれ、解体工事が本格化していきました。まずは駐車場とクラブハウスの真ん中を部分的に解体し、重機が場内に入れる道を作りました。その後、場内の人工芝を剥がしていくと、徐々にゴルフ練習場の鮮やかなグリーン色が無くなっていきました。その色合いを見た時、まさに屋外ゴルフ練習場は終わったなと、これから新しい一歩を踏み出すのだなと、しみじみ感じたことを今でも覚えています。

ゴルフ練習場の鉄柱の解体は、見事なプロの技でした。クレーン車やバーナー、カッターを使いながら、鉄柱をまるで神社の鳥居の様な形にカットして地上に降ろし、地上でダンプカーに積載できる程の大きさにもう一度カットし、運び出していました。
鉄柱の解体が終わると、土壌整備に取りかかりました。ゴルフ練習場特有のでこぼこの形状の土地を掘り返し、平らに均していく作業です。その後、6m道路を通し、土地の大枠が出来上がっていきました。
そして、スーパーとカシワゴルフが入る建物の建設がいよいよ始まりました。建設現場の皆様は、建物の基礎作り、鉄骨の搬入・組み上げ等、一つ一つを丁寧に作業されていました。暫くすると、建物の骨組みが出来上がり、また暫くすると壁が取り付けられ、気づく度に建物がどんどん変化していきました。

建物建設と同時に行っていた事が、内装やインフラの設計、打席の設計、予約システム開発、会計システム構築、広報プロモーション、営業方法の確立等の様々な打ち合わせです。このプロジェクトには多くの会社が関わっていましたので、会議がほぼ毎日行われていました。また、決めるべき事が多いので、午前に2つの会議、午後に2つの会議が入る日もあり、多忙な日々を送っていました。打席の壁紙の色は何が良いか、床材、天井、照明、は何が良いか、ありとあらゆる事を決めてゆく作業は大変でしたが、とても面白く貴重な経験ができたと思います。

2022年に入り、建物建設が大詰めを迎えた頃、いよいよトラックマンの勉強会が本格的に始動しました。ご存じの方も多いと思いますが、トラックマンとは高性能レーダー弾道・スイング測定器の名称で、世界のトッププロが信頼し愛用する世界一正確な測定器です。1球打てば31項目のデータが計測でき、同時にスイング動画の撮影も行います。上方と下方の2つのレーダーによって毎秒約40,000サンプルを採取しています。つまり一言で言えば、すっげー機械ということです。
このすっげー機械を導入するために、スタッフはトラックマンを操作できるように訓練が必要でした。2021年の夏頃から、1ヶ月に1度のペースで研修が始まり、それと同時に「トラックマンユニバーシティー」というアプリを使用して自習を行いました。2022年に入ってからは研修の回数を段々と増やし、プレオープン直前には1週間に4回の研修トレーニングを行いました。スタッフは、この研修のおかげでトラックマンの基本的なデータの分析や操作をマスターすることができました。研修を主催して頂いたトラックマンジャパン社に心から御礼申し上げます。

オープン直前は引っ越し等の肉体労働とともに、トラックマン研修、広報活動、内覧会の準備など、非常にハードな日々が続きました。たくさんの方々の応援があったからこそ、何とか乗り切る事ができましたし、このプロジェクトに関わった皆様に心から感謝申し上げます。また、オープン直前には、飾りきれない程の祝花が届き、いろんな方に支えられている事を再び実感しました。ありがたいです。感謝感謝感謝です。

以上が立川カシワゴルフのリニューアルオープンまでの、ザックリとした物語でした。最後までお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。

立川カシワゴルフは、インドアゴルフの新しい形を常に模索し、挑戦し続けますので、今後とも末永くお付き合い頂ければと思います。

新時代、新世界の幕開けです。

皆様とともに・・・。